色の再現性・Japan Color
ジャパンカラーとは
ジャパンカラーという言葉をカラー製版印刷に携わっている方々なら必ず1度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかしながらこれが具体的にどんなもので構成され、どのように使用するものか理解している人は少ないかもしれません。
ジャパンカラーという言葉は簡単にいうと印刷における“ものさし”のようなもので一般には“刷り見本”と聞くとピンとくるのではないでしょうか。
この“刷り見本”をISOの規格の元で日本国内ではISO/TC130国内委員会が中心になって制定作業を推進して基準化したものがJapan Colorなのです。また、印刷色に関する標準は世界の各国にひとつ認められており、アメリカのSWOPや欧州のEuro Standardもいわゆる“刷り見本”なのです。
そして日本では印刷の色標準に関する規格をインキ、紙、印刷などの関連業界団体の協力のもとに制定し、インキ、用紙、ベタ色、網点印刷物を含めた「ジャパンカラー」と称するオフセット枚葉印刷における日本の色標準ツールを作成し、現在では製版色分解、プルーフィング(DDCP、リモートプルーフ)、印刷(アナログPS版、CTP、DI、オンデマント印刷)などの分野だけでなく、データ交換、カラーマネージメントなどの分野においても利用できる色の共通指標として使用されるようになりました。
また、オフセット枚葉印刷だけではなく、新聞印刷、雑誌印刷など輪転印刷の分野での日本の標準色を決定し、ISO規格に反映させていく作業も進んでいます。
- 1. Japan Colorの構成
- ジャパンカラーには標準インキ、標準用紙、ベタ色標準測色値、ベタパッチ色見本および、色再現印刷2001など5つの標準ツールから構成されています。
この標準ツールを元に印刷された印刷物がJapan Color準拠といわれる印刷物なのです。
- 2. Japan Color準拠の印刷物の運用
- 絵柄はさまざまであっても、網点面積率が同じ状態であれば同じ色再現になるということがある程度想像はできます。仮に、同じ絵柄を何社かの印刷会社で印刷する場合、Japan Color準拠の条件が保たれていれば、印刷機の大きさや版材の種類等々が異なっていても、どこで刷っても同じ仕上がりになるはずです。
また校正刷りやプルーフと本刷りが同じ色の仕上がりでできることも印刷会社にとっては重要な問題です。ジャパンカラーが制定される以前は標準印刷物という定義が決まっていなかったので、校正や、プルーフは何を目標にしていいかわからずに、各々の最適な条件で作成されていました。
しかしJapan Color準拠という目標が決まれば、それに合ったものを作ればよいだけなのでカラーマッチングという意味でもJapan Colorという“ものさし”が便利なツールになるわけです。ただ、すべての印刷物をJapan Color通りに印刷しなければならない、と言うものでもありません。
Japan Colorの基準は許容範囲も広く規格通りではクライアントを満足させる印刷ができなくて、もう少しベタ濃度を上げたほうが良くなるというケースも当然あると思います。こういう場合はあえて規格にとらわれる必要はないでしょう。
ただし、その印刷物は規格の条件から、どこが外れているのかをきちんと認識しておく必要はあるでしょうし、それを印刷会社の独自の“ものさし”として運用することも問題はありません。
当ページの内容は「東京都印刷工業組合」のホームページより引用しました。